が初恋の思えま

嫌なことにまつわるストレスって、 長々しく書いた注射の話と一緒で その前段階における想像に因るところが大きいのではないでしょうか？ 「きっと、ああなるよな。で、こうなるんだろ？ ああ、もう、ほんとうんざりするなぁ！」などと 僕たちは考えがちです。 だけど、 だいたいの嫌なことって、一瞬で終わっているはずです。 『前もって予想している嫌な部分』と 『終わった後も引きずる嫌な部分』を抜かせば、 嫌なことの本体は一瞬間のうちに過ぎ去っているのです。 だったら、 前のことは考えず、後のことは忘れるようにして 過ごした方がなんぼかマシです。 嫌なことがあった日って、もう朝から晩まで 嫌なことに覆いつくされていたように思ってしまうものですが、 きっと楽しかったり、感謝できる瞬間もあったはずです。 そっちの方をより多く見た方が 平穏に過ごせるのではないでしょうかね。 「痛いのは一瞬。注射と同じさ」と思うようにして。 なんてふうに くどくどと書いたのは 長い休みを終えて仕事をはじめる皆さんへの エールのつもりではありませんよ。 いえ、 そういう部分もありますが、 お正月中も働いていた人間が 恨み辛みを発散させたという側面もあります。 うん。正直なところ 若干ながら、そういう部分はありますね。 澤蔵司稲荷（たくぞうすいなり）は、 小石川にあるお寺さんで、 僕たち夫婦はだいぶん昔に散歩をしていて見つけて以来 ごくたまにここを訪れることがあります。 ここ何年間かは元日に行くことが多いですね。 このお寺の謂われが面白いんです。 近くにある伝通院の学僧であった澤蔵司さんは わずか3年で浄土宗の奥義を極めた後に そこの寮長さんの枕元に立ったそうです。 『余は実は稲荷大明神であったのだ。 浄土宗を学びたいと思いたち世話になった次第である。 この恩に報いるためにも余は伝通院を守護してやるぞ』とか 言ったようですね。 伝通院のお偉い方が建てたのが この澤蔵司稲荷というわけです。 綺麗で、不思議な飾りですね。 本堂には白い狐が描かれています。 写真だとわかりづらいのですが、 この青がすごく美しいんですよね。 境内には至る所に《お狐様》が鎮座されてます。 そして、この澤蔵司稲荷には 《おあな》という場所があります。 『霊窟』と書いてありますね。 まあ、お稲荷様と『穴』には なんらかの関係があるようなのですが、 僕はそのことをよくは知りません。 ただ、 この場所がちょっと不思議な雰囲気を 持っていることしか知らないのです。 お寺の裏手に低い場所があって、 そこに幾つかのお堂があります。 前はもっと鬱蒼としていて 奇妙な感じを持ったものでしたが、 けっこう綺麗に整備tr90效果されてしまいましたね。 こんな感じに《お狐様》がうじゃうじゃいます。 不気味といったら大変失礼なのでしょうが、 でも、やっぱり不気味に思えてしまいますね。 この《おあな》にもたくさんの《お狐様》がいます。 これは―― いったいなんでしょう？ リアルな『妖怪ポスト』でしょうか？ 鬼太郎に手紙が届くのでしょうかね。 まあ、とにかく 澤蔵司稲荷は不思議な場所なんです。 雑然としていて、しかし、汚いわけではなく 生命力が溢れているようにす。 涙ぐんで微笑むしか出来なかった、昨夜の顔と違っているのに聡一は気がついた。 「春。子どもみたいに笑う。雪が降ったのがそんなに嬉しいのか？」 「はい。懐かいです。母方の祖父母が東北でしたから」 「それで、色白いのか、春」 ネクタイを結びながら、大人の男の顔で春美聡一の顔をじっと見つめる。 「……はぁちゃんの所に、帰るんでしょう？先輩」 それには答えず、聡一は腕をまわした。 ぎゅっと抱き締められて、春美は聡一の肌の匂いをかぐ。 この状態が信じらa型肝炎症狀れなくて、鼓動が跳ね上がった。